2026-01-13

RaspberryPi5を使ったリアル波形描画(1) イントロダクション


2018年にRaspberryPi3を使ったリアル波形描画の記事を10回に渡って書いた。7年半たって、RaspberryPiも進化し、ソフトウェアのプラットフォームとして使っていた Qt もバージョンが上がっている。

そこで、今回よりあらためてRaspberryPi5をベースにして、心電図モニタを想定したシステムを構築しつつ、どのようなソフトウェアアーキテクチャを医療機器に採用するとよいかについて解説していきたい。

RaspberryPi とは

Raspberry Pi(ラズベリーパイ)は、クレジットカードサイズの小型コンピュータで、低価格ながら本格的なPCと同等の機能を備えています。Linux(Raspberry Pi OS)が動作し、キーボードやモニタを接続すれば、Web閲覧、プログラミング、サーバ構築など幅広い用途に利用できます。最大の特徴は、基板上に備えられたGPIOピンを使って、LEDやセンサー、モーターなどのハードウェアを直接制御できる点です。これにより、ソフトウェアと電子工作を組み合わせたIoTや制御システムの試作が容易に行えます。省電力で常時稼働にも向いており、自宅サーバや実験用マシンとしても人気です。学習用途から実務のプロトタイプまで幅広く活用できる点が、Raspberry Piの大きな魅力です。

RaspberryPiを 使う理由は、ボードコンピュータとして汎用性が高く、安価で、LANや HDMI、USB、SDカード、Wi-Fiが標準装備されており、入手も容易なので壊れてすぐに交換が可能なのがよいからだ。ラズパイは教育やホビー、カスタマイズできるシステムとして広く普及していて、コンピュータプログラミングの入門機としても適している。

7年前にはRaspberry Pi 3 Model B+ をプラットフォームに使った。今ではRaspberryPiも、ずいぶんラインナップが増えた。

RaspberryPi が特によいのは、デフォルトで Wi-Fi を搭載しているところだ。Wi-Fi を搭載するには、各国の無線規制をクリアする必要がある。日本では技適(技術基準適合認定)を受ける必要があり、20~50万円の費用がかかる。各国で同様の認定が必要なため、世界中でWi-Fiを使えるようにするのは、かなり大変なことだ。RaspberryPi はそういった汎用インタフェースを世界中で同じ仕様で使えるようにしているところがすごい。

Raspberry Pi Foundation(ラズベリーパイ財団)は「未来のエンジニアを育てるために、世界一身近なコンピュータを作った教育団体」で、エンジニア教育への貢献は非常に大きいと思う。

Raspberry Piシリーズ 性能比較(主要モデル)

モデルCPUメモリ特徴・性能感
Raspberry Pi Zero 2 WQuad-core ARM Cortex-A53(1.0GHz)512MB超小型・超低消費電力。軽量な制御・IoT向け
Raspberry Pi 3 Model B+Quad-core Cortex-A53(1.4GHz)1GB入門用。Linux学習や簡易サーバ向け
Raspberry Pi 4 Model BQuad-core Cortex-A72(1.5GHz)2/4/8GB実用性が大幅向上。デスクトップ用途も可
Raspberry Pi 5Quad-core Cortex-A76(2.4GHz)4/8GB処理性能が飛躍的に向上。小型PC並み

RaspberryPi 5 は1万7千円とちょっと高めだったが、Raspberry Pi 3 Model B+ に比べてどのくらい性能が上がったのかも体感してみたかったので、RaspberryPi 5を購入することにした。


リアルタイム波形描画を行うには、LCDディスプレイが必要なので10インチのLCDディスプレイにRaspberryPiを背負わせることができるキットを選定した。これにRaspberryPi5とSDカードを合わせて購入した。


購入製品のリスト

RaspberryPiは、電源アダプタや HDMIケーブルなどは同梱されていないので、必要な電源アダプタなどの周辺機器がセットになったLCDキットなどはいろいろ販売されている。タッチパネル付きのLCDや電源がセットになっていたのでXBONFIRE のLCDキットを選んだ。


最初の組み立て

RaspberryPiは、前職で新人技術者教育に使っていたことがあって、汎用性は高いもののSDカードとの相性が悪いと立ち上がらないこともよくあり、「一発では動かない」というイメージがあった。そして、案の定、一発ではうまく動かなかった。

まず、RaspberryPiを起動させるためには、SDカードにLinuxのイメージを書き込む必要がある。このようなセットアップ手順はいろいろなサイトで紹介されているので、今回はこちらのnoteの記事を参考にさせてもらった。

「Raspberry Pi Imager」をRaspberryPi財団のサイトからダウンロードして、自分の Window PCにインストールして、Linuxの起動イメージをSDカードに書き込む。起動ディスクだから、コピペでは動かないので、専用のアプリでイメージを書き込む必要がある。RaspberryPiに挿入するSDカードはmicroSDだが、SDカードアダプタがついていたので、アダプタ経由でPCに刺してOSのイメージを書き込んだ。Raspberry Pi Imager では初期の設定を編集することができて、次のような項目を設定することができる。
  • ホスト名
  • ユーザ名
  • パスワード
  • Wi-FiのSSIDとパスワード、Wi-Fiの使う国(JP)
  • タイムゾーン(Asiia/Tokyo)
  • キーボード設定(JP)
これらをRaspberryPi本体で設定しようとすると、キーボードやディスプレイが必要になるので、この段階で設定できるようになっているのはとても親切だ。

そして、SSH(Secure Shell、ネットワーク越しに、別のコンピュータを安全に操作するための通信プロトコル)の設定(今回はパスワード認証)を行う。

RaspberryPiを立ち上げた後に Wi-Fi経由で自分のPCからSSHで通信する必要があるので、これをやっておく必要がある。

SDカードにイメージを書き込み、RaspberryPi本体にmicroSDカードを差し込んで、電源(USB TypeCから給電する)を入れると、RaspberryPiが立ち上がる。

今回LCDのキットがあるので、LCDキットの基盤にRaspberryPi5をセットして、電源を投入したのだが、LCDディスプレイには「No Input Image」が一瞬表示されて画面が消えてしまう。

「ああ、やっぱり一発では動かなかったか」と落胆しつつ、LCDキットの取説の一番後ろに書いてあったユーザサポートにメールしてみる。12時間以内に返信するとあった。

状況の説明と写真を送ったところ、ていねいな返信がきていろいろアドバイスを教えてくれた。困った時にはAIがヒントをくれるが、生身の人間のサポートがあると安心できる。

RaspberryPiをネジ止めする4箇所のネジ穴があるのだが、ネジ受けの頭に薄い茶色のフィルムが貼られていてそれを剥がせという指示があった。実際、RaspberryPiの基盤をネジ止めしようとしたらネジがうまく入らなかったのでネジ止めできなかったのだが、そういう理由だったようだ。老眼になると細かいところがよく見えないのでフィルムがあることに気が付かなかった。

このLCDキットは、USB-TypeCコネクタとHDMIコネクタに変換アダプタを接続して、LCDキットの基盤のコネクタに刺すような構造になっている。基板側のコネクタがロックのない2列のコネクタでよく見ないと一列ズレて刺してしまう。どうも、最初にうまくいかなかったのは一列がズレてコネクタが刺さっていたからのようだ。RaspberryPiの取り付け位置もフィルムのせいでピタッと合っていなかったこともズレの原因だった。

茶色のフィルムを剥がして、慎重にコネクタの位置を確認しながら接続し、電源を投入したところ、RaspberryPiの初期画面が表示された。

その後、Wi-Fiの接続ができず、タッチパネルを使って、RaspberryPiのWi-Fiをオンにしたり、Wi-FiのSSIDやパスワードを再設定したりし、sshの設定をやり直したりした。

chatGPTに現状の症状を伝えながら、一つずつ問題をクリアすることで、PCからRaspberryPiにWi-Fi経由で接続することができた。

最初の段階ですんなり行かなかったが、焦らずに少しずつすすめていこうと思う。


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