2011-11-06

スティーブ・ジョブズの伝記を読んで


iPad で Steve Jobs ⅠⅡを読んでいる。現在はⅡの頭の方で、スティーブ・ジョブズが一度 Apple から追い出された後復帰してApple を立て直そうとしているところだ。

この本(電子書籍)を読んでいると、途中で無性に Apple ⅡやMacintosh、ジョブズの演説、有名なCMなどが見たくなる。

電子書籍なのだから写真やリンクを埋め込んでくれればいいのに、本をそのまま電子版にしただけなのでリンクはない。写真は最初に固まってあるが、本当に見たいのはその商品や場面のくだりの部分で見たい。

スティーブ・ジョブズは伝記を書くことを許可したけれども、自分では原稿を読まなかったので、読んでいたら作品としていろいろ注文を付けたのではないかと思う。

さて、Steve Jobs ⅠⅡを読んでいて気がついたことがいくつかあった。一つはアメリカの企業の前に進む進み方が非常にダイナミックだとういことだ。Apple だけの話ではない。企業の吸収や合併、方針の大幅な転換、リストラが当たり前のように行われている。

そして人の移動もダイナミックだ。△△の○○は□□が得意だから連れてこようとかいったシーンがしょっちゅう出てきて、呼ばれた方も一つの会社のCEOをやっていてもそこを抜けてしまったりする。

また、企業のトップ同士のコミュニケーションが頻繁に行われる。スティーブ・ジョブズとビル・ゲイツは犬猿の仲で会ったこともないのかと思ったら、そんなことはなく、水と油ではあるものの業務提携したり、話し合いや交渉もけっこうやっている。

スティーブ・ジョブズがゼロックスのパロアルト研究所(PARC)を訪れた際に、初めてPCがGUIで動くのを見てMacintoshのルックアンドフィールのGUIを思いついたという話は本当のようだが、その後、ビル・ゲイツがWindows を作ったときにスティーブ・ジョブズはビル・ゲイツに「おまえがしているのは盗みだ!信頼しているたというのに、それをいいことにちょろまかすのか!」と言ったそうだ。

それに対してビル・ゲイツは「なんと言うか、スティーブ、この件にはいろいろな見方があると思います。我々の近所にゼロックスというお金持ちが住んでいて、そこのテレビを盗もうと私が忍び込んだらあなたが盗んだあとだった。むしろそういう話なのではないでしょうか」と反撃したらしい。

なにはともあれ、企業と経営者と社員がダイナミックに動き、企業という枠がありながらもその間を人や技術や商品が行き来している。落ち着かない面もあるかもしれないが、思い切ったことができるような気がした。技術者もその枠の中に留まってはいない。技術を請われてあっちに行ったりこっちに来たりする。最初から必要だという気持ちでマーケティングや宣伝にもきっちり予算を付ける。

日本の企業には動かない変わらない良さ、伝統的な技術を継承し続ける強みがあるので、企業のダイナミックな動き方がよいとは言い切れないが、魅力的に見えるのも確かだ。失敗と挑戦を繰り返しても受け入れてくれる土壌がアメリカにはあるように思った。

ただ、だからこそ契約が大事だとういうのも分かった。Steve Jobs ⅠⅡの中で大事な契約がいくつも出てくる。スティーブ・ジョブズが分厚い契約書を数ページに簡素化するよう指示する場面が何回かあったが、それはすなわち企業のトップが契約内容を掌握し、契約によって企業活動を動かしている証でもあると思った。

契約の中には今から考えるとそんなことがあったのかという物もある。Microsoft初のアプリケーションはマック用の Excel と Word だった。Apple にとっても、Excel と Word は重要なアプリだったので、これを引き上げられては困る。そこで、Apple 交渉の過程で GUI を Windows 1.0にライセンスし、その見返りとしてExcel を最長2年間、マック専用とするという契約を交わしている。

日本では、企業間でこんなダイナミックな契約はなされないだろうなと思った。

この本を読んでるとエンジニアはものづくりにかける情熱をなくしたら終わりだとうことがよく分かる。みんなすばらしいものを作って胸を張りたいと思って仕事に打ち込んでいる。リリース前に商品(特にソフトウェア)が完成しておらず、徹夜して何とかしようとする技術者の行動は今も昔も同じだ。その気持ちがなくなったら自分の存在価値がなくなると思った。

下記に示した若き日のスティーブ・ジョブズが行っているMacintoshのプレゼンテーションは、製品のソフトウェアが間に合わずに徹夜して仕上げた後で、プレゼンテーションにインパクトを与えたいと思ったソフトウェアエンジニアたちが最後の力を振り絞って完成させたデモソフトだ。

スティーブ・ジョブズは人間として幸せだったかどうかは分からないが、少なくとも多くの人に感動を当てる商品をもたらした。それを達成した時は関わった人々も含めて技術者として幸せだったと思う。

自分自身の中では Apple の商品の中で初代Macintoshと、iPad が世の中に革命をもたらしたと思っている。そのどちらも自分の手にすることができたことに幸せを感じる。

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この記事の一番後ろに、本を読みながら“見たい”と思った画像、映像をインターネットで探すことができたので貼り付けておく。

2分間で Apple の製品を眺めることができる映像




こっちは、マッキントッシュのプレゼンテーション




有名なCM二つ。

1984

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