2010-04-24

ひとりでは学食に入れないという若者が増えている

今週はもうひとつ映像コンテンツの感想を書こうと思う。NHK で4月23日(金)19:30に放送された特報首都圏「“ひとり”が恐い」というテレビ番組を電車の中でラジオで聞いた。


ゲスト : 土井隆義
キャスター : 中野純一
ひとりでは学食に入れないという若者が増えている。なかにはトイレで食事をすませる学生もいる。背景には、周囲から友だちがいないさびしい人間だと思われたくない心理が働いている。専門家は、携帯メールで24時間常に維持される友人関係が、自己肯定感の大部分を占めるようになったと分析。大学では、友だち以外の分野で自分の居場所を持てるように、さまざまな取り組みを始めている。“ひとり”が怖いという若者の姿を伝える。
簡単に解説すると、学食でひとりで食べていることを見られることで、「あいつは友達がいないんだ」と思われることがイヤなので、そう思われるくらいなら歩きながらパンを食べたりトイレでささっと空腹を満たす方がいいとということなのだ。

「それほどまでに他人の目を気にするなんて」と思った人は、現代の若者達のコミュニケーションの方法について理解が足りていない。そうなる原因は携帯電話によるコミュニケーションの変化にある。

ようするに、現代の社会人になる前の若者達はメールで連絡を取り合うことで友達との連帯感を確保している。24時間「レス」できるようにしておくことが友達としての証であり、それができないと友達との距離が生まれる。

番組ではアドレス帳が500件までしか登録できないので700件まで登録できる携帯に買い換えた女子大生が出ていた。携帯電話のアドレス帳が友達の範囲であるような印象を感じる。

嘉悦大学では大学の入学式の前に新入生を集め大学構内を二人ひと組で回り、教授やサークルの先輩を訪ねるオリエンテーションゲームを行い、新入生の心のハードルを下げることに成功しているとのことだった。

冒頭に紹介したひとりで学食で食べられない学生に対して一緒に食事をしてくれるカウンセラーがいる大学もあるとのこと。(そうしないと辞めてしまう学生が後を絶たないのだとか)

もしも、自分が学生時代に携帯電話があったら確実に今の若者と同じ事をしていると思った。その環境があればもっとコミュニケーションが多くなって活動の範囲が広がったのではないかとも感じる。

ただ、その環境がなかったことでよかったのは一人で考えを巡らす時間が十分すぎるほどあったということだと思う。大学から離れた時にはたっぷりと一人の時間があった。

番組では携帯メールによる広くうすい四六時中つながっている状態の友達関係は若者の自立を疎外する傾向があるという。「自分は自分、他人は他人」という自己の確立が遅れるというのだ。

昔は、中学→高校→大学→社会人という流れの中で自己の確立が強まっていくのだが、携帯電話によるコミュニケーションにより、中学生レベルの自立にしかなっていないらしい。

twitter も24時間見ていてつぶやかないと疎外されるような感覚を持つようになると同様の問題が起きる可能性がある。

ちなみに、こういう時代になってしまった以上、パソコンや携帯電話が悪でありそれを排除すれば問題は解決すると考えるのはムリがあると思っている。なぜなら、これらのアイテムによるメリットもあるし、現実的に排除などできないからだ。

インフラの変化やコミュケーション手段の変化をキチンととらえて、それらのメリット、デメリットを把握しながら、どう向き合えばいいのかを考えていく必要があると思った。

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