2008-11-08

最も重要なリーダーシップ・スキル

さまざまなリーダーのタイプ』の続きで、米国シリコンバレーを中心に経営コンサルタントとして活躍するKimberly Wiefing 氏のインタビュー記事の3/5回である。
The Last Leadership Skill

Interviewer: You say there are two reasons that teams fail to achieve their goals. What are they?

Wiefling: The top two reasons, on average, typical teams fail to achieve their goals – the number one reason is: they don’t have goals, or goals are unclear, or people don’t understand the goals the same way. It’s a very preventable cause of failure, and every leader is responsible for making sure this is never a cause of failure for their teams.
The number two most common reason for teams to fail, especially in this world, this global economy, is communication. Communication is the only way we have to lead other people, to influence other people. And yet, we are given very little guidance on the most important part of communication, and that is listening. Listening is the lost leadership skill. Everybody’s good at talking.

Interviewer: And so that’s why you teach what you call “generous listening”?

Wiefling: Generous listening. Most listening is listening for what’s wrong with what the other person is saying. This kind of listening filters out many ideas. When we’re working in a organization where we need every idea, generous listening helps expand possibilities. In generous listening, it’s not the responsibility of the speaker to be interesting or to have something valuable to say. The generous listening puts the responsibility on the listener to find, “What’s valuable here? What am I listening to that is important? And I am responsible for increasing the quality of the conversation by the quality of my listening.” It’s a unusual approach to conversation, I find.

最も重要なリーダーシップ・スキル

インタビュアー:組織が目標を達成できないのには、2つ理由があると、おっしゃっていますね。その理由とは何ですか?

ウィーフリング:典型的な組織が目標を達成できない理由の、平均して上位2つに入るものは-第1位は、目標を持っていないか、目標があいまいであるか、みんなが目標を同じように理解していない、ということです。これは、失敗の原因としては防ぐのが容易なもので、どのリーダーも、これが原因で組織が失敗することがないようにする責任があります。
2番目によく見られる、組織の失敗の理由は、特にこの世界、グローバル経済の世界にあっては、コミュニケーションです。コミュニケーションは、ほかの人々を導き、ほかの人々に働き掛けるための唯一の手段です。ところが、コミュニケーションの最も重要な部分に関して、私たちはまったくといっていいほど指導を受けていません。それは、聞くということです。聞くことは、人々に忘れられてしまった、リーダーシップ・スキルなのです。誰でも話すことは達者です。

インタビュアー:だから、あなたはいわゆる「ジェネラス・リスニング(広い心で話を聞くこと)」を教えていらっしゃるわけですね?
ウィーフリング:ジェネラス・リスニングですね。(人が話を)聞くときはたいてい、相手の話の間違いを耳にそば立てるような感じです。こうした聞き方は多くの優れたアイデアを排除してしまいます。あらゆるアイデアを必要とする組織で働いている場合、ジェネラス・リスニングが可能性を広げることに一役買います。ジェネラス・リスニングの場合、話し手が興味深い人物だったり、有益な意見を持っていたりする責任はありません。ジェネラス・リスニングは、聞き手の側に、「ここで有益なことは何か? 自分が聞いている中で重要な部分はどこか? 私には、自分の聞き方の質によって、この会話の質を高める責任があるのだ」ということを理解する義務を課します。これは会話に対するアプローチとしては珍しいものだと思いますね。
ウィーフリング氏が挙げている組織が目標を達成できない理由のひとつ、「目標を持っていないか、目標があいまいであるか、みんなが目標を同じように理解していない」というのはよく分かる。ただし、リーダーがこれが原因で組織が失敗することのないようにする責任があるというのは、改めて確かにそうだよなと思った。

上の人たちの会議で、それは売り上げのためなのか、ステークホルダにいい顔したいからなのか、誰かにした約束のためなのか、目標が不明確な泥沼のやりとりを聞くことがある。顧客満足を達成するという目標が忘れられると、プレッシャーに負けて中途半端な品質のまま商品をリリースしてしまうことがあるように思う。これは必ずしも確信犯ということではない。ウィーフリング氏がいう「ジェネラス・リスニング(広い心で話を聞くこと)」をしないために、下の者達が本当のことを積極的にさらけだすことをしなくなり、結果的にリスクが見えていないという状況を自ら作ってしまっているのだ。

ようするに「見なかったことにする」が寄せ集まってリスクとなり、そのリスクがフィールドで発現してユーザーに迷惑がかかるという構図だ。リーダーがそれに怒って「ジェネラス・リスニング(広い心で話を聞くこと)」と反対のことをし出すと、ますます、下は正直なことを言わなくなりリスクは拡大する。

確かに、「ジェネラス・リスニング(広い心で話を聞くこと)」は最も大事なリーダーシップ・スキルかもしれない。
 

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