一年以上の続いていたこのポットキャストが突然終わってしまった理由、それは、井上裕編集長が日経BP社から日本経済新聞社へ転勤(もともと出向していたのかも?)するからです。
このポッドキャスト、最終回で編集長が語っていたように、最初は日経ビジネスの販促のために記事の概要を紹介していたのですが、回を重ねるうちに読者との双方向コミュニケーションが始まり、ビジネスの話題を中心にしたコミュニティのように変化してきました。
このブログサイトも双方向コミュニケーションにしたかったのですが、なかなか難しいものです。日経ビジネス編集長の終わらない話がこれだけ盛り上がった理由は以下のような要因があるのではないかと思います。
- ネタもとになっている日経ビジネスの記事自体が話題性・先見性がある。(非常に優秀な記者たちを抱えていると思います)
- 週刊誌なのでポッドキャストも毎週金曜日に定期的に更新される。(定期更新)
- 井上裕編集長が親分肌で人間的に好感が持てるし、話自体がおもしろい。
- ラジオ日経のアナウンサーなど少ないながらプロのスタッフが番組を作っている。
- ポッドキャストはどこでもダウンロードできるので海外でも聞けるため、自称海外特派員から便りがとどき、それを紹介することで空間の壁を越えたコミュニティの感覚が生まれる
- おそらく変なメールもたくさん届いていると思うが、励ましやおしかりのメールをディレクターがうまく選択することで、結束を高めるような演出をしていた。
新しい日経ビジネスの編集長が引き継げばいいとも考えられますが、もの書きは必ずしもしゃべりが上手いということはなく、一時間近く台本なしのアドリブでしゃべるのは難しいでしょう。
ただ、このポッドキャストによって、日経ビジネスの読者は間違いなく増えており、この一年で読者の平均年齢層が一年から二年若返ったそうです。
自分自身、週刊誌を定期購読などしたら読まないでゴミになることが分かり切っていたので、定期購読はしないと決めていましたが、このポッドキャストを聞くようになってかなり気持ちがグラグラしました。(会社で購読しているので必要な記事は読めていました)
週刊誌の記事をネタにしてポッドキャストで情報を配信し、読者やリスナーを中心に双方向コミュニケーションを作り、それを聞いたリスナーが日経ビジネスの読者になるといういいサイクルが生まれていたと思います。
でも、このようなコミュニティの有効性に企業の上位層は気がつかないものです。
コミュニティの解散は数字的な影響よりも、参加していたものに対して心理的な影響を与えます。
日経ビジネスオンライン『日経ビジネス編集長の終わらない話 2.0』が終わってしまったのは残念ですが、この終わり方の理不尽さが日本の組織の考え方を象徴しているようで印象的でした。
※コミュニティの重要性を理解できないお偉いさんってエンジニアの世界にもいますよね。
P.S.
上記のポッドキャストが盛り上がった要因の6番はかなり効いていると思います。2ちゃんねるのように投稿されきた内容を全部さらけ出してしまうとどうしても番組のポリシーが汚されます。ねつ造ではなく、本当に投稿されてきたもののなかからきれいな賛成意見、反対意見を選択することで番組のイメージを保持することができます。ドキュメンタリーにも演出の要素があるのはこれと同じです。
※その後 3月5日から「 新編集長のここだけの話」が始まったようです。(もうやめられなくなったみたいです)
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