2013-02-20

『組込みソフトエンジニアを極める』についてのニュース

2012年7月18日に韓国人のCho JinJe さんから下記のようなメールが来た。
酒井 様

私は韓国の組み込みソフトウェアエンジニアのCho JinJeともします。
1999年から組込みソフトウェア開発の仕事しています。
2000年6月から2006年11月まで日本資本の複合機のソフトウェア開発会社に勤めながらプリンタと複合機ソフトウェア開発の仕事をし、10回余りの日本出張に行きながら日本の組込みソフトウェア開発に関心を持って関連した本を読みました。

私は2007年からはセットトップボックス、DVRなどに組込みLinuxを利用した製品を開発し、今月から自分の会社を作ってエンベデッド ソフトウェアに対する講義、サービス開発などをしています。

昨年にはあなたの”リコールを起こさないソフトウェアのつくり方”を読んで多くの助けを得ました。 
最近では”リアルタイムOSから出発して組込みソフトエンジニアを極める”を読みました。
本当に良い本だと考えます。韓国の関連従事者も必ず読む必要がある本だと考えます。ぜひ私が”リアルタイムOSから出発して組込みソフトエンジニアを極める”を韓国のエンジニアのために翻訳できるようにして下さい。

お願いいたします。

もちろん、翻訳OKということになって、Cho さんとのやりとり(韓国語に直すにあたって意味がよく分からない点の修正や、韓国の読者向けに表現を変えるなど)を行い、2013年2月に韓国語版の発売が決まった。

韓国版の本の表紙がこれである。そして、Cho さんに韓国語版の発刊に当たってのコメントを書いて欲しいと頼まれたので、下記のコメントを送った。(韓国語に翻訳され、本に掲載されるはず)

韓国語版刊行にあたって
ソフトウェアは生身の人間が日々の活動によって作り上げるものであり、人間の特性を考慮せずしてソフトウェア開発の成功はあり得ません。
特に、組込みソフトウェアはセンサーやアクチュエータや表示デバイスを使い機器の実際の動きを見ながら開発を進めていきます。 
そして、技術者の熱意(Enthusiasm)が組込みソフトウェアの品質向上に直結します。このことはソフトウェア開発プロセスを重視して品質を高めようとする西欧のソフトウェアプロジェクトにはうまく伝わらないかもしれません。 
しかし、私はこれからも次の三つのEにこだわっていきたいと思っています。
  • Experience(経験)
  • Education(教育)
  • Enthusiasm(熱中、熱意、情熱、こだわり)
これらの3Eを取り入れたこの本を見いだして韓国語に翻訳してくれた Cho JinJe さんには大変感謝しているとともに、この本をきっかけに韓国の読者が自分達の製品をより価値の高いものにしたいと考えてくれることを願っています。 
2013年2月
酒井由夫
なお、時を同じくして、日本の『リアルタイムOSから出発して組込みソフトエンジニアを極める』 の重版もこのほど決まりました。2006年に日経BP社から発売された『組込みソフトエンジニアを極める』が初版で絶版になってしまい、脱稿時の原稿から校正をやり直して新に『リアルタイムOSから出発して組込みソフトエンジニアを極める』として、本を生き返らせてくれたエスアイビー・アクセスの富澤 昇さんにも感謝しています。

出版不況の中、電子版にせよ紙の本にせよ書籍として完成されたものがないと知識はきちんと後生に伝わっていかないと思っています。そして、書籍として生き残っているからこそ、Cho さんのように知見を広げてくれる人が現れるのだと思います。

リアルタイムOSから出発して組込みソフトエンジニアを極める』の日本語版のの第2版は、Cho JinJe さんからの多くの指摘も反映させたものになっています。

韓国語版の『リアルタイムOSから出発して組込みソフトエンジニアを極める』が日本と韓国のソフトウェアエンジニアの架け橋になってくれれば幸いです。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

韓国語版の刊行おめでとうございます!