2009-09-21

カイゼンの実現にはジャーナリズムが必要

今、政治が面白い。政権が交代し新しい施策・政策が次々と打ち出され改善が進んでいく過程を見るのは心地よいものだ。

組織内でなかなか進まないソフトウェア系のカイゼンをうまく前進させるためのヒントが今の政治に見いだせるのではないかと思った。

そもそもこれまでどうにかボトムアップ&技術的なアプローチで組織的なカイゼンが実現できないか考えてきた。時間はかかっても実績を積み上げることでボトムアップアプローチでもなんとかなるだろうと思っていたが、なかなか道のりは険しく組織上位層の理解や協力がなければ難しいのではないかという気がしてきた。特に、ソフトウェアの再利用戦略であるソフトウェアプロダクトラインはトップダウンのアプローチが不可欠と言える。

今の民主党の政治の進め方は、まずマニフェストという基本方針・基本計画を記したドキュメントを作成し、それを実現することを宣言し支持を取り付け、トップダウンで具体的な実現の手段を発信するというやり方だ。

何か迷いが生じたときに立ち戻るための基本方針が活動のトップにあるのはとても大事だ。広範囲な施策を講じていけばどこかでA施策とB施策の間に矛盾が生じたり、調整しなければいけなかったりするときが来る。そういうときには基本に立ち戻って何が本質に近いのかを判断しなければならない。

しかし、何よりもこれまでうまくいっていると思うのは情報公開の姿勢だと思う。政府は今、これからやることやろうとしていること、部下に指示したことが何かを特に隠すことなくオープンにしている。問題点があればすぐにマスコミや個人から「問題だ」という情報が発信されるから、行動や発言には基本方針と矛盾がないようにしておかないといけない。また、指示を受けた官庁の職員達は指示の内容がオープンにされてしまっているためサボりたくてもサボれない。ちゃんと仕事しているかどうか常に不特定多数の観客から監視されている。おそらく成果が上がれば観客から「よくやった」と評価もされるだろう。

注目したいのは、この行動や成果の情報をオープンにして議論することを恐れないという点だ。今、組織内の活動で足らないのはこのことではないかと思う。目標を示し、それをリーダーが自分の言葉で語り、活動と活動の成果を逐一公開して議論をする、これが大事なのではないか。

実際の政治の世界で重要なのはジャーナリズムだと思う。複数のジャーナリストが公平な立場でいろいろな確度から施策を分析したり評価したりすることで、その施策が正しいのか、見落としている問題がないのか精査される。施策を実行している者がその情報をフィードバックすれば軌道修正できる。

ちなみに、新聞やテレビを見ている限りジャーナリストの一部は自分の立ち位置をどこにおいていいかという迷いが見られるように思う。これまで政治の世界では見えない部分の闇が必ずあったから、体制に対して批判的な要素を突っついていればジャーナリズムとしてバランスが取れているように見えた。読者、視聴者から見て体制側に日和っているように見られないような記事、報道のスタンスを必ず入れるという習慣が付いてしまっていた。

だから、闇がないアプローチ、発言を次々とされると、突っ込みどころがなくなる。そもそも、闇のある体制に日和っているように見られる心配がなくなったことに気がついていない。突っ込むべきは掲げている目標に賛成なのか反対なのか、賛成ならば目標の実現を阻害する要因は何か、目標実現の陰で不利益を被っているものはいないかという点だ。そういう報道がこれまで体に染みついてしまった習慣で体制に日和っていると感じてしまうジャーナリズムは何でもいいからアラを探そうとする。誰と誰の意見が微妙に違っているとか、裏でこんなことでもめているといったワイドショー的なネタをニュースの枠で取り上げたりする。

ともあれ、情報をオープンにして自由な議論を許容するということがこんなに大事であり、プラスの効果をもたらすのかとこの数週間感じている。もちろん、おおもとの基本計画がしっかりしていて行動がぶれないようにしないと議論も発散してしまうと思うが、トップダウンのメッセージ発信と行動の公開、ディスカッションの誘導がカイゼンに役立つように思う。

そして、意外に大事なのは誰のための活動か、施策かを常に頭に置いた上での賛成や反対のさまざまな意見をオープンに議論するジャーナリズムであり、ソフトウェアのカイゼンの世界でもジャーナリズムは必要なのだと感じている。

このブログも組込みソフトウェアの世界でジャーナリズムの一端を担うことができればいいと思う。
 
P.S.

先の衆議院選の選挙期間中自民、公明両党がインターネット上で展開した、民主党を批判するコマーシャル(ネガティブCM)を見た人のうち6割以上、63.5%が、批判している自公両党に対して逆に「悪い印象を持った」という調査結果がでた。このネガティブCMはラーメン編プロポーズ編が特にヒット数が多かった。百聞は一見にしかずでまずは YouTube でご覧あれ。

自民党はこららのCMのヒット数が多かったことからプラスの効果があると考え、次々にネットCMを作ったようだが、実は視聴者は面白いので見るけれど、作り手側の悪意に嫌気を感じたということだろう。

ジャーナリズムはただ単に相手をあげつらえばよいという訳ではない。十分な根拠を持った批判が必要だということが分かる。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

マスコミの偏向報道については、どの程度ご存知ですか?

外国人参政権や人権擁護法案の問題、

鳩山由紀夫代表が、「日本列島は日本人だけのものじゃない」、と発言したことなど。
どこまでご存知でしょうか?

ジャーナリズムが一番ないのは、今のTV、新聞だと思っています。
自分の業界の不祥事はほとんど報道しない癖に、不二家の賞味期限切れは鬼のように叩き、また、スポンサーの悪口は言えません。パチンコのCMを流しまくって、その資金の流れについては何も言いません。(北朝鮮に流れてます。)
逆に、2chの住人ほうが、利害関係がない分ジャーナリストしていると感じてます。