2006-07-22

なるほど、これが海外人材登用の新しいかたちなんだ

先日、渋谷のパソナテックのオフィスでパソナテック 海外事業部 部長の小平達也氏にオフショア開発(海外に開発を委託すること)についてお話を聞く機会があった。

小平氏との話にいくまえに軽く渋谷の複雑性について書いておく。

渋谷はいつ行ってもわかりにくい。パソナテックのオフィスは渋谷のマークシティウェストにある。渋谷マークシティは渋谷駅に直結しているのでJR渋谷駅の改札を出てからすぐにたどり着くかと思うとそうではない。渋谷マークシティに直結しているのは京王電鉄の渋谷駅の方だ。

だから、最短の行き方はJR渋谷駅の改札を出るときに京王への乗り換えの方(ホームから階段を上に上がる)へ行き、京王の改札を目指す。途中マークシティの表示があるのでその表示に従い京王電鉄の改札まで行ってしまうと行き過ぎとなる。改札まで到達する前にマークシティの4階に上がらないといけない。

4階に上がらないと改札を通り越してマークシティウェストまでたどり着けないのだ。4階に上がるとレストラン街が広がっており、オシャレなレストランがたくさん並んでいる。このレストラン街をどんどん進んでいくと、トンカツ屋があるのでそのトンカツ屋の手前のエスカレータを使って5階に上がり、5階のエレベータホールから17階に上がるとパソナテックの渋谷オフィスに到達する。

パソナテックのWEBサイトから案内図をダウンロードしておいてよかった。渋谷に近いからといって案内なしにたどり着けないのが渋谷の特徴だ。

パソナテックのオフィスは白が基調で赤がポイントカラーとして使われており、日本の会社らしからぬかっこいいオフィスだった。

さて、小平達也氏は海外事業部の部長で、パソナテックコンサルティング(大連)有限公司 の董事を兼任されている。中国でのエンジニア事情に詳しい方で、@it にも数多く投稿されている有名人だ。

個人的には『アジア技術者が採点する日本技術者の実力(1)中国編』の記事を興味深く読ませてもらった。

小平氏にうかがったお話の中で、強く印象に残ったのは、パソナテックの「理工系人材・グローバル採用支援サービス」の話だ。

「日本は中国の技術者の人件費の安さだけに着目して開発の一部を中国に移し、そう簡単にはいかないことが分かって撤退し、やっぱり国内では人材が確保しきれないのでまた進出するという“行ったり来たり”を繰り返している」という話をしたところ、パソナテック海外事業部の戦略は違うというのだ。

中国で優秀かつ日本語ができるエンジニアの卵(優秀な大学を卒業したポテンシャルの高い人材)の中から、さらにクライアントの要求に近い人材を抽出し、これらの人材を日本の企業に派遣する。そして派遣先の企業でドメインに特化した技術・知識を学ばせ、将来幹部候補になりそうな人材にまで成長する見通しが立ったところで、その企業に正社員として登用するというサービスを提供しており、これが非常に評判がよいとのこと。

この話を聞いて真っ先に思ったのは、その高い教育を受けた中国人の人材が自分の獲得したスキルを活かして他社に転職してしまう危険性はないのかという点だ。

これについて小平氏は「中国の大学を卒業して、欧米の企業で1年契約の更新を続け、人がどんどん流動している様子を見ていれば、当然自分も条件のいいところに移りたいと思いますよ。」「でも、大学を卒業して真っ白は状態から、長期雇用の日本の企業文化にふれさせて、幹部候補にもなれる期待をかけてあげれば、他社に転職されてしまう危険性はほとんどないんです。」と語った。

そして、日本の企業はその人材が本当に自分の組織に適しているかどうかを見極めるまでは、正社員として登用しないので、雇用のリスクを最低限に抑えることができる。

もちろん、日本の学生を採用する際に支払う給与よりは高い派遣費用がかかるが、そもそも人口の多い中国から厳選して厳選して人材を見つけてきているだけに、いい人材が見つかる確率が高いのだそうだ。

中国を含めた東南アジアのマーケットに進出するつもりがなく、日本発でプロダクトアウトしていく企業が中国の技術者の人件費の安さだけを求めてオフショア開発を進めるとうまくいかないという点については自分も小平氏も意見は同じだ。

日本の組込みソフトとオフショア開発については、技術評論社の組込みプレス vol.4 (2006年8月発行予定)に SESSAME Workshop 2006 の続きの座談会ということで記事が載るので、そちらも参照していただきたい。

また、日本のエンジニアは長期雇用の前提があるため井の中の蛙になりがちで、外国人のインターンを組織的に受け入れて、プロジェクトに配置することで、日本人の技術者達に刺激を与えることができるという話もあった。

日本の技術者には技術を磨き続けなければ生き残れないというプレッシャーも与えないといけない。

世界は広いということを認識しなければ・・・

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