2019-11-06

『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』のKindle 版リリース

リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』のKindle 版が出ました。紙の本は絶版になってしまい、技術評論社から PDF版では買えたのですが、技術評論社の編集者にお願いして kindle 版もリリースしてもらいました。

下記は、この本が最初に出版されたときのブログ記事の抜粋です。

【『リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』はじめにより】
日本のソフトウェア製品やソフトウェア搭載機器がグローバルマーケットで支持され続けるためには、「品質がよく割安感のある商品」を市場にアウトプットしていかなければいけないと思っています。リコールを繰り返すような品質の悪いソフトウェアではダメなのです。

一方、ソフトウェア開発の側面を見ると、欧米で体系化されたソフトウェア品質改善の方法論の多くが日本のソフトウェアプロジェクトに紹介されています。ところが、日本のソフトウェア開発現場の多くでそれらが役に立っておらず形骸化しているように感じています。また、大部分の方法論は欧米で実践されているはずですが立ち遅れているといわれる日本のソフトウェア搭載製品のほうが品質が高いという事実があります。

それはなぜなのでしょうか。それならば、日本のソフトウェアプロジェクトはこのままの方法で開発を続けていればよいのでしょうか。この命題を解明し、ソフトウェア工学をどのように日本のソフトウェアプロジェクトに適用すると有効なのかを示すことができなければ、日本のソフトウェアエンジニアは決して幸せにはなれないと思っています。これが本書を書こうと思った動機です。

本書は、たとえば、次のような方に有用です。
  •  ソフトウェア開発の初級者の方
  •  新人でこれから目指すべき道筋が見えていない方
  •  ハードウェアエンジニアで「なぜ、ソフトウェアは問題を起こすのか」を常々疑問に思っている方
  •  ソフトウェアプロジェクトマネージメントの技術を学んでいて、どうして自分のプロジェクトでうまくいかないのか悩んでいる方
  •  組織内でソフトウェア品質問題に頭を抱えている方
その他にも、ソフトウェアの品質管理、構成管理、再利用資産、安全設計などに興味を持っている方にもおもしろく読んでいただけると思います。 まず、ソフトウェアエンジニアの新人や初級クラスの方は、Part1のソースコードのケーススタディを見て、自分がいまどのレベルにいて、何を学ばないとまずいのかを考えてみてください。きっと答えが見つかるはずです。中堅、ベテランのエンジニアのみなさんは、Part1でソフトウェアの本質的な危うさを認識し、日本人の特性を理解したうえで、日本におけるプロジェクトマネージメントの適用方法を Part2で学んでください。

そして、プロジェクトリーダーやソフトウェアアーキテクトとしての責務を負っている方は、ソフトウェア再利用資産の抽出方法を Part3で修得し、現行のソフトウェア製品群の開発効率と品質向上に役立ててください。
最後に、自組織のソフトウェア製品やソフトウェア搭載製品が市場で問題を起こしており、その問題を解決する責務を負っている方は、本書の最初から最後までを通して読み、ソフトウェアと日本人の特徴を理解し、自組織において何に手をつければよいのかを理解してほしいと思います。
本書が、初級や中級のソフトウェアエンジニア、アーキテクト、マネージャ、リーダーの方にソフトウェア品質の改善活動の参考書として役立つことを期待しています。

2010 年 3月 酒井由夫
【引用終わり】

リコールを起こさないソフトウェアのつくり方』目次

Part1 ソフトウェアの危うさの本質を体感してみよう
Chapter 1 ソフトウェアの危うさを知ろう
Chapter 2 危ないソフトウェアのプログラム例とケーススタディ
Chapter 3 ソフトウェアはなぜ危ないのか
Chapter 4 ソフトウェアの品質を高く保持するために
coffee break アメリカ人と日本人

Part2 日本的ソフトウェアプロジェクトの管理はここから
Chapter 5 ソフトウェア開発の理想と現実
Chapter 6 日本のソフトウェアプロジェクトに求められる取り組み
Chapter 7 ソフトウェア構成管理
Chapter 8 ソフトウェア変更管理
Chapter 9 レビュー
coffee break 問題解決能力:自ら考え行動する力

Part3 ソフトウェア資産化の技術がリコール防止につながる
Chapter 10 ソフトウェア開発のプラットフォーム
Chapter 11 ソフトウェアシステムとソフトウェア搭載機器の価値
coffee break 3 ものづくり戦略とソフトウェア品質:品質=Qualityの話
Chapter 12 再利用資産を抽出するためのアプローチ
Chapter 13 再利用資産を抽出する手順
coffee break 4 UML導入のススメ
Chapter 14 再利用資産の抽出のケーススタディ
Chapter 15 再利用資産の抽出後のアプローチ
coffee break 5 テストカバレッジ
Chapter 16 安全性が求められるシステムに対するアプローチ
Chapter 17 安全アーキテクチャの検討
Chapter 18 ソフトウェアを資産化して品質と開発効率を高める

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