Tech-On! にリコー 社長 近藤 史朗 氏のコラム『旧来の手法では最先端の製品は開発できない』が載っていた。
【『旧来の手法では最先端の製品は開発できない』より引用】
・・・設計者というのは変な話ですが「体を使う」と,ものすごく仕事をした気になるんです。分かりますでしょうか,この言い方で。例えば,発売日に間に合わせるためにみんなで徹夜して頑張ったとか,会社の言うことに逆らってプロジェクトを進めたとかいうエピソードは,多くの会社にあると思います。そして,最終的にはプロジェクトが成功に終わる。これが体を使うという感覚です。しかし複写機の場合,昔のような少人数のプロジェクトチームが徹夜して仕上げるようなやり方では,もう最新の製品は開発できません。
僕が現場の最前線で開発に取り組んでいた時は,本当に少数の部隊で商品開発をやっていて,不眠不休でやるっていうのが当たり前でした。新製品の開発なんだから,そうやるものだという思い込みもありました。しかし,今のリコーで一切そういうことは許さない。そうしたやり方は悪だと宣言しています。
【引用終わり】
複合複写機の世界では1990年代に従来の力ずくのソフトウェア開発では立ちゆかなくなったため、各社ともオブジェクト指向設計を含むソフトウェア開発手法の改善を行ったと聞いている。おそらく、システムソフトウェアの規模が30万行を超えたのだと思う。
その過渡期を経験し、「このままではダメだ」と実感したことのある人がトップになるとこのような発言ができるのだろう。うらやましい。
逆に言えば、システムの規模が30万行を越えてきているのに、徹夜を美徳としているようなトップなら悪循環が一層進みかねない。
そんな環境下でエンジニアが目指すべきことは何か?
それは、技術を磨いてどんな環境でも通用するエンジニアになり、組織の中において個人商店として成り立つように立ち振る舞うことだと思う。
自分自身が個人商店だと考えれば、自分に仕事を振ってくる他部門や上司は大切なお客様であり、彼らが満足する仕事をアウトプットすることで対価を稼いでいることになる。
そんな一番近い位置にいる「お客様」に面と向かって文句を言っていいのは、彼らがエンドユーザーの不利益になるようなことを依頼してきたり、命令してきたりしたときだ。
簡単に言えば「偽装を指示された」ようなときだ。そこまではっきりしていなくても、セクショナリズムからくる意地の張り合いなどでエンドユーザーの利益にならないことを平気で指示するような上司はいる。
こういうときは我慢せずに言いたいことを言う。そういうことが積み重なるようならしかるべきところに直訴すべきだし、それでもだめならあまり迷わずに組織を出た方がよい。
そのとき拾う神があるかどうかは、自分自身が技術を磨いてきたかどうかにかかっている。
理系は文系よりも出世が遅いと理系白書に書いてあったが、理系の中でもソフトウェア出身の技術者が組織の上位層に上がるのは遅いかもしれない。組込みソフトエンジニアはものわかりのよい上ばかりではない世界だということを認識しつつ、組織の中における自分の立ち位置をどこに持って行くべきかを考える必要があると思う。
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