2025-07-11

FDA公開「AI 搭載医療機器リスト」最新アップデートを読み解く

 


FDA公開「AI 搭載医療機器リスト」最新アップデートを読み解く― 2025年7月版 ―


1️⃣ はじめに|なぜ “いま” このリストなのか

米FDAの 「Artificial Intelligence-Enabled Medical Devices List」 は、AIを組み込んだ医療機器(SaMD/医療機器ソフトウェアを含む)の承認・認可済み製品を一括把握できる公的データベース です。開発企業・臨床現場・投資家が同じテーブルで議論できる “共通言語” を提供するという点で、極めて重要なリソースになっています。U.S. Food and Drug Administration


2️⃣ 2025年5月30日更新:リストはついに1,000件超え

  • 最新エントリー日時:2025年5月30日付の複数機器(Aidoc BriefCase-Triage ほか)が追加。U.S. Food and Drug Administration

  • 件数の急増:2024年8月時点で903件だった登録数が、2025年6月には1,000件を突破。わずか10ヵ月で+100件以上と、成長曲線はなお加速中です。ラップスSTAT

ポイント
放射線科系が依然トップシェアですが、心血管・眼科・生殖医療や病理分野などへも裾野が拡大。いまや「AI = 画像診断専用」という常識は過去のものになりつつあります。


3️⃣ FDAが強調する “AI 搭載医療機器リストの使い方”

リストの機能実務への応用ヒント
CSV/Excel 形式でダウンロード可市場分析や競合調査に活用。社内BIツールへ取り込み、デバイス種別・企業国籍・審査ルート(510(k)/De Novo/PMA)別トレンドを可視化すると示唆が得やすい。U.S. Food and Drug Administration
各機器の決定概要へ直リンク“何が評価され、どこまで詳細を開示しているか” を逆算し、自社の PCCP(事前定義変更計画) 設計や営業資料のエビデンス強化に利用。
AI関連用語ベースの抽出公開サマリーに AIモデル構造/学習データ概要/バージョン管理などを明示すると、FDAが次回更新でタグ付けしやすくなる → 透明性=PR効果 に直結。

4️⃣ “Foundation Model” 時代への布石

FDAは今後、LLM(大規模言語モデル)やマルチモーダルAIを搭載した医療機器を明示的にタグ付け する方針をページ内で表明しています。つまり、“生成AI” を活用するSaMDの開発者は 早期から透明性とバイアス管理 を示すことが、リスト収載⇒市場信頼性確保への近道になります。U.S. Food and Drug Administration


5️⃣ スタートアップ/投資家向けアクションプラン

  1. 競合マッピング:ダウンロードしたデータを◆製品領域×リスク分類◆でピボット。ホワイトスペースを特定。

  2. 審査ルート分析:同程度リスクの先行事例を抽出し、510(k) なのか De Novo なのかを確認。早期上市戦略の指針に。

  3. 資金調達資料での活用:FDA公開情報で裏付けされた TAM(Total Addressable Market)試算を提示し、説得力向上。

  4. PCCP設計の先行研究:リスト中で公開概要に “predetermined change control plan” を示す製品を探し、ドキュメント構成をベンチマーク。


6️⃣ AI医療機器で先行している米FDAのAI医療機器ガイダンスの内容を確認しましょう。

“規制を制する者が、AI医療機器市場を制す”

Medical Software Consulting では、AI医療機器向けのFDAガイダンス 2点の解説動画(AI医療機器 ライフサイクルガイダンスAI医療機器 PCCPガイダンス)を公式 YouTubeチャネルにて公開しています。世界に先駆け、急成長している AI医療機器 に米FDAがどのような要求をしているのかが分かります。




Medical Software Consulting 解説動画一覧


🔗 参考リンク(URL付き)

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