ソフトウェアの規格に翻弄されている日本のエンジニアに告ぐ!
今こそ「それは本当に役に立つのか」と問いかけろ!
自分達が作っているソフトウェアの品質は十分に高いのに、余計な要求を突きつけられて無駄なことをやらせていると思っているエンジニアはいないか。
そもそも、ソフトウェアの不具合は発見しにくいし、どの工程でも入り込んでくる可能性がある。だから、プロセスアプローチで相対的に対処しようとするのは分からないでもない。
でも考えて欲しい。それは、ルールと責任を重んじ、システムやツールを使いこなすことを得意とする欧米のやり方ではないか。
品質を心配する意識が強く、製品のライフサイクルを通じて同じ技術者が考え、問題にすばやく対処し、ルール化せずとも不具合の再発防止を継続的に実現できる日本のソフトウェアエンジニアに、もっとも有効なやり方か?
そして、規格適合の実態のばかばかしさ。本当に役に立つのかどうかの根拠が明白でないままに、規格のその要求に適合できないことは悪だとばかりに、責める認証機関やコンサルがいる。
彼らには、規格は金を生む宝であり、バイブルなのだ。
問題は規格そのものよりも、規格を認証する制度の問題だ。プロセス規格の場合、規格に適合できているかどうかの判定の白黒が付きにくい。だから、プロセス規格の適合を取ると決まったら、監査管、審査官のさじ加減で各要求のレベルが上がったり下がったりする。試験方法が明白な電気的安全性の試験などと違って、監査管、審査官の裁量に委ねられることも多く、適合している、していないで攻防をする結果、適合していることを示す明確なエビデンスがないことが不適合の根拠となる。
その結果、日本の企業では監査で実質的に出来ているのに、ルールやシステムの整備が十分でなく、承認されたエビデンスがないことがよく指摘される。
そういう状態で是正事項を指摘されると、表面的に取り繕うことが目的になっていく。中身はどうでもいいから手順と証拠があればいいという方向に流れていく。
だが、待て! そもそも、その指摘は手順があって、ルールに縛られないと品質を担保できない者達へのアプローチではないか。
手順やルールがなくても、上司に言われなくても、問題があれば自助努力で解決できるチームには余計なお世話ではないのか。
ソフトウェアの規格に翻弄されている日本のエンジニアに告ぐ!もしも、その疑問が心の中に浮かんでいるのならば、今こそ、「なぜ」それが必要なのかを考えろ。
納得できる答えを見つけてから、動こう。「なぜ」それが必要なのかをチームでディスカッションしよう。
認証機関にも聞いてみよう。(認証機関はコンサルしてはいけないルールになっているので、答えることができないという言い訳をするかもしれないが)
コンサルにも聞いてみよう。この取り組みはどうして品質向上につながるのか。もしも、「規格で要求されているから」と答えたら、張り倒そう。
なぜなぜ分析って、知ってる? 問題が起こったときの根本原因を掘り下げるときによく使うけれど、今こそ、使うべきだ。なぜ、その規格を適合すると品質が向上するのか、安全になるのか?
無駄だと思ってやっていると、日本の組織では力にならない。最初の図にある「品質を心配する意識」に語りかけないとダメだ。今やっていることが役に立つという確信を持てれば、ガチガチのルールにしなくても、チームは率先して受け入れて効果も上がる。
ルールや責任ばかり強調して、システムやツールに頼ろうとするのは、欧米ではうまくいくかもしれないが、日本ではうまくいかないだろう。
なぜなら、ソフトウェアを作っているのは人間であり、人間や人間の集まりであるチームはその気質によって考え方や慣習が異なるからである。
欧米中心で作られた国際規格が日本のプロジェクトにフィットしないシーンはたくさん見てきたし、欧米振興の日本人が国際規格を神格化しているケースもある。
みんな、自分達のソフトウェアの品質が諸外国のそれらより劣っていると思っている? そう思っていないのに、いいなりなんだ。
人が働ける時間には限りがある。「あの人はいい仕事をした」と後々言われるような仕事をしよう。
誰にも誇れる仕事、自分にも他人にも嘘をつかない仕事、エンドユーザーに役に立つ仕事をしよう。エンドユーザーにとっての価値が下がるような結果にしては絶対にいけない。(品質は上がらず、コストだけが上がったというのもその一つ)
コメント募集中!
2015-05-23
2015-05-04
USのヘルスITの取り組み(8) 提案されたヘルスIT重点領域の外観
今回より、FDASIA Health IT Report の第5章に入る。第5章は原文で12ページとボリュームが大きく、今回は第5章の全体を説明する前文を紹介する。
5. PROPOSED STRATEGY AND RECOMMENDATIONS FOR A HEALTH MANAGEMENT HEALTH IT FRAMEWORK
5. ヘルスマネジメント・ヘルスITフレームワークのための提案された戦略と推奨
Health IT has the potential to reduce medical errors, increase the efficiency of healthcare delivery, reduce costs, and improve the quality of healthcare for Americans.
ヘルスITには、医療ミスを抑制し、ヘルスケアの提供の効率化し、コストを削減して、アメリカ人のためにヘルスケアの品質を向上させる可能性がある。
However, shortcomings in health IT design, development, implementation, customization, integration and use may result in adverse health consequences.
しかしながら、ヘルスITの設計、開発、実現、カスタマイズ、インテグレーション、利用における不十分な点は健康被害をもたらすかもしれない。
We propose that a framework intended to promote innovation and protect patient safety should adhere to the following principles:
私たちは、革新を促進して、患者の安全を保護することを意図する枠組みが以下の原則を固く守るべきであるよう提案する:
1) Employ a risk-based approach to appropriately mitigate patient safety risks while avoiding unnecessary regulatory oversight;
2) Leverage private sector knowledge, experience, and expertise;
3) Facilitate, rather than impede, innovation;
4) Promote transparency of product performance and safety;
5) Create/support an environment of learning and continual improvement.
1) 不必要な規制監視を避ける間、リスクベースアプローチを患者安全リスクの適切な対策のために使いなさい。
(訳注:過剰な規制監視はしないから、リスクベースアプローチで患者安全の対策を取ることに集中せよという意味だと思われる)
2) 民間の部門の知識、経験、専門技術を活用しなさい。(訳注:ヘルスITは様々な領域を結合するため、それぞれの専門領域の知識や経験を活用せよという意味)
3) 革新を妨げるよりも、むしろ促進することを考えなさい。
4) 製品の性能と安全の透明性を促進しなさい。
5) 学習と継続的改善の環境を構築し、保持しなさい。
The proposed framework is based on the health IT product lifecycle and the complex sociotechnical system in which these products are developed, implemented, and used, and the extent of risk posed by health IT products.
提案されたフレームワークはヘルスIT製品のライフサイクル及び、これらの製品が開発されて、実行され、使用される複雑な社会技術システム、およびヘルスIT製品によって引き起こされたリスクの影響範囲に基づいて考えられている。
We recommend a limited, narrowly-tailored approach that primarily relies on ONC-coordinated activities and private sector capabilities.
私たちは限定的で狭義に最適化されたアプローチ、それは主としてONCとの強調活動と民間セクターの能力に依存するアプローチを推奨する。
For example, we do not recommend the need for any new or additional areas of FDA oversight.
例えば、私たちはFDAのいかなる新規のまたは追加の監督領域も推奨しようとは考えていない。
Rather, we believe a better approach is to foster the development of a culture of safety and quality, leverage standards and best practices, employ industry-led testing and certification, and selectively use tools such as voluntary listing, reporting, and training to enable the development of a transparent learning healthcare environment that fosters continual health IT improvement.
むしろ、私たちは、安全と品質の文化の開発の促進や、標準やベストプラクティスの実践や、産業界主導のテストや認証、自動表生成やレポート支援などの選択的に使用するツールの使用や、継続的なヘルスITの発展を育成する透明性の高い、ヘルスケア環境の開発を可能にするトレーニングなどが、よりベターなアプローチであると信じている。
We do not believe that regulation should be, or needs to be, the first approach used to reach this outcome.
私たちは、規制があるべきとか、必要であるとか、この結果に達するための最初のアプローチであるとは考えていない。(訳注:規制ありきでは目的は達しないという意味)
This section identifies the four key proposed priority areas for a risk-based framework for health management health IT functionality and outlines potential next steps for each (FIGURE 3):
このセクションでは、ヘルスマネジメント・ヘルスITの機能性のためのリスクベースフレームワークの4つの主要な重点分野を特定して、それぞれ(図3)の施策のために次に進むためのステップについて概説する:
I. Promote the Use of Quality Management Principles
II. Identify, Develop, and Adopt Standards and Best Practices
III. Leverage Conformity Assessment Tools
IV. Create an Environment of Learning and Continual Improvement
I. 品質管理原則の使用を促進すること。
II. 利用可能な規格類とベストプラクティスを定義し、開発し、導入しなさい。
III. 適合性評価ツールを活用しなさい。
IV. 学習と継続的改善の環境を構築しなさい。
These priority areas share three critical characteristics:
これらの重点分野は3つの重要な特性を共有する:
1) their application can be tailored using a risk-based approach;
2) they have relevance at all stages of the health IT product lifecycle and to all health IT stakeholders;
and 3) they support both innovation and patient safety.
1) これらの利用は、リスクベースアプローチを使用することでテーラリングすることができる。(訳注:合わせ込むことができるという意味)
2) これらは、ヘルスIT製品ライフサイクルのすべての段階においてすべてのヘルスIT利害関係者に関連性を持っている。
そして、3) これらは革新と患者安全の両方を支援する。
In addition to the four key priority areas listed in FIGURE 3, the Agencies have identified an additional key component to the health management health IT framework - the creation of a Health IT Safety Center.
図3に記載された4つの主な優先領域に加えて、関係機関はヘルスマネジメント・ヘルスITフレームワークにキーコンポーネントとしてHealth IT Safetyセンターの創設を追加して定義した。
This public-private entity would be created by ONC, in collaboration with FDA, FCC, and AHRQ, and with involvement of other Federal agencies and health IT stakeholders.
この公立の民間会社はFDAと、FCCと、AHRQ、および他の連邦政府の機関とヘルスITのステークホルダ達のかかわり合いと共同作業のもとでONCによって創設されるだろう。
The Health IT Safety Center would serve as a trusted convener of health IT stakeholders in order to focus on activities that promote health IT as an integral part of patient safety with the ultimate goal of assisting in the creation of a sustainable, integrated health IT learning system that avoids regulatory duplication and leverages and complements existing and ongoing efforts.
Health IT Safetyセンターは、二重規制を避けて、現存しそして進行中の努力を補完する、統合されたヘルスIT学習システムの創造を助けるという究極の目標のもと、患者の安全の不可欠の部分としてヘルスITを促進する活動に焦点を合わせるためにヘルスIT利害関係者に信頼された召集者として機能するだろう。
The Health IT Safety Center could enable a deeper understanding of how these four priorities can and should be integrated into the programs and activities of stakeholders in health IT safety.
Health IT Safetyセンターはこれらの4つのプライオリティがどう統合できて、ヘルスIT安全における、利害関係者のプログラムと活動と統合されるべきであるかに関する、より深い理解を可能にすることができるだろう。
To be successful, the Health IT Safety Center will require a strong governance mechanism and involvement by participants in programs and activities that:
これがうまくいくために、Health IT Safetyセンターは次のような問題と活動の関係者によって強いガバナンスメカニズムと関与を要求するだろう:
関係機関は、このような公共と民間の努力のコラボレーションがこのレポートに含まれた戦略と推奨の成功実現に重要であると信じている。
(訳注:規制当局が一方的に規制するのではなく、官民のコラボが本レポートの実現のカギだと言っている)
The Agencies seek input on whether the focus areas identified in this report are the appropriate ones - and whether the proposed next steps, described below, will lead to an environment where patient safety is protected, innovation is promoted, and regulatory duplication is avoided.
関係機関はこのレポートで確認される焦点領域が適切なものであるかどうか、以下で説明された次のステップが患者安全が保護される環境に導かれるのか、革新が促進されるのか、二重規制が避けられるのかを示すインプットを探している。
(訳注:このレポートの主張が正しい根拠が欲しいと言っている。パブリックコメントで賛同してくれということではないか。)
The Agencies also seek comment on what steps should be taken to encourage and foster private sector participation in the identified priority areas and in the Health IT Safety Center.
関係機関はまた、特定された重点分野の中で、Health IT Safetyセンターへの民間部門の参加を奨励して、後押しするために、どんな方法が採られるべきであるかに関するコメントを求める。
The Agencies believe such participation could help otherwise avoid the need for a more active regulatory approach while assuring that health IT risks are minimized and patient safety protected.
関係機関は、そのような民間の参加がヘルスITリスクの最小化と患者安全の保護を保障するより活発な規制アプローチの必要性を避けるのを助けると信じている。
(訳注:民間がHealth IT Safetyセンターに積極的に参加することでヘルスITリスクを最小化し患者安全を保護できると規制当局は考えている。裏を介せば、民間が積極的に関与しなければ、規制当局が規制を強めるしかないという意味)
Summary and Conclusion:
概要と結論:
The Agencies'strategy and recommendations for a risk-based framework for health management health IT include four key priority areas:
関係機関が推奨するヘルスマネジメント・ヘルスITのための戦略は、4つの優先領域を含んでいる。
promote the use of quality management principles;
identify, develop, and adopt standards and best practices;
leverage conformity assessment tools;
and create an environment of learning and continual improvement.
品質管理原則の使用を促進しなさい。
関係する標準とベストプラクティスを特定して、開発して、採用しなさい。
適合評価のツールを活用しなさい。
そして、学習と継続的改善の環境を構築しなさい。
The Agencies also recommend the creation of a Health IT Safety Center as a public-private entity with broad stakeholder engagement, that includes a governance structure for the creation of a sustainable, integrated health IT learning system that avoids regulatory duplication and leverages and complements existing and ongoing efforts.
関係機関はまた、広い利害関係者が関わり官民によるHealth IT Safetyセンターが創設されることを推奨する。それは、二重規制を避け、現存し進行中の努力を補完し活用するための継続可能で、統合されたヘルスIT学習システムの創設のための管理構造を含む。(訳注:Health IT Safetyセンター は、ヘルスITの安全に有効な標準やベストプラクティスを学ぶためのヘルスIT学習システムの創設と管理の責任を担っているという意味。)
FIGURE 3:Overview of Proposed Health IT Priority Areas
図3:提案されたヘルスIT重点分野の概観
The proposed risk-based framework for health IT identifies four key proposed priority areas and outlines potential next steps that could be taken to help more fully realize the benefits of health management health IT functionality.
ヘルスITのための提案されたリスクベースフレームワークは、4つのキーとなる重点領域を特定し、ヘルスマネジメント・ヘルスITの機能性の有益性をより完全に実現することを助ける潜在的な次のステップを概説する。
Promoting the use of quality management principles, including a quality systems approach, by health IT stakeholders is necessary for the safe design, development, implementation, customization, and use of health IT.
ヘルスITの利害関係者達が安全設計、開発、実装、カスタマイズ、そしてヘルスITの利用のために必要とする品質システムアプローチを含む品質管理の原則の使用を促進すること。
The identification, development, and adoption of applicable health IT standards and best practices can help to deliver consistently high quality health IT products and services to consumers.
ヘルスITの標準とベストプラクティスを定義し、開発し、採用することは、高品質なヘルスIT製品とサービスを顧客に提供し続けることを助ける。
Conformity assessment tools (e.g. product testing, certification, accreditation) can provide assurance that health IT products, services, systems, and organizations meet specified standards or fulfill specified requirements.
適合性評価ツール(例えば、製品試験、認証、認証評価)はヘルスIT製品、サービス、システム、および組織が指定した標準を満たすか、または規定要求事項を実現していることの保証を提供できる。
These tools should be used and applied in a risk-based manner to distinguish high quality products and organizations from those that fail to meet basic performance standards or requirements.
これらのツールは、基本性能規格または要求の適合を満たさないものと高品質の製品や組織を識別するために、リスクベースの方法で使用され、適用されるべきである。
The creation of an environment of learning and continual improvement, including transparent reporting, aggregation, and analysis of safety issues is central to a health IT framework that promotes innovation and protects patient safety.
透明性の高い報告、集積、安全問題の分析を含む、学習と継続的改善の環境の創設は、革新の促進と患者安全の保護のヘルスITフレームワークの中心的存在である。
The Agencies recommend the creation of a Health IT Safety Center that includes broad representation from public and private sector stakeholders to establish a governance structure for the creation of a sustainable, integrated health IT learning system that avoids regulatory duplication and leverages and complements existing and ongoing efforts.
関係機関はHealth IT Safetyセンターの創設を推奨する。Health IT Safetyセンターは、二重規制を避け、現存し進行中の努力を活用し補完するための統合された継続維持できるヘルスIT学習システムの創設のための統治構造を創設し、官民領域のステークホルダーからの広い権益を含む。
5. PROPOSED STRATEGY AND RECOMMENDATIONS FOR A HEALTH MANAGEMENT HEALTH IT FRAMEWORK
5. ヘルスマネジメント・ヘルスITフレームワークのための提案された戦略と推奨
Health IT has the potential to reduce medical errors, increase the efficiency of healthcare delivery, reduce costs, and improve the quality of healthcare for Americans.
ヘルスITには、医療ミスを抑制し、ヘルスケアの提供の効率化し、コストを削減して、アメリカ人のためにヘルスケアの品質を向上させる可能性がある。
However, shortcomings in health IT design, development, implementation, customization, integration and use may result in adverse health consequences.
しかしながら、ヘルスITの設計、開発、実現、カスタマイズ、インテグレーション、利用における不十分な点は健康被害をもたらすかもしれない。
We propose that a framework intended to promote innovation and protect patient safety should adhere to the following principles:
私たちは、革新を促進して、患者の安全を保護することを意図する枠組みが以下の原則を固く守るべきであるよう提案する:
1) Employ a risk-based approach to appropriately mitigate patient safety risks while avoiding unnecessary regulatory oversight;
2) Leverage private sector knowledge, experience, and expertise;
3) Facilitate, rather than impede, innovation;
4) Promote transparency of product performance and safety;
5) Create/support an environment of learning and continual improvement.
1) 不必要な規制監視を避ける間、リスクベースアプローチを患者安全リスクの適切な対策のために使いなさい。
(訳注:過剰な規制監視はしないから、リスクベースアプローチで患者安全の対策を取ることに集中せよという意味だと思われる)
2) 民間の部門の知識、経験、専門技術を活用しなさい。(訳注:ヘルスITは様々な領域を結合するため、それぞれの専門領域の知識や経験を活用せよという意味)
3) 革新を妨げるよりも、むしろ促進することを考えなさい。
4) 製品の性能と安全の透明性を促進しなさい。
5) 学習と継続的改善の環境を構築し、保持しなさい。
The proposed framework is based on the health IT product lifecycle and the complex sociotechnical system in which these products are developed, implemented, and used, and the extent of risk posed by health IT products.
提案されたフレームワークはヘルスIT製品のライフサイクル及び、これらの製品が開発されて、実行され、使用される複雑な社会技術システム、およびヘルスIT製品によって引き起こされたリスクの影響範囲に基づいて考えられている。
We recommend a limited, narrowly-tailored approach that primarily relies on ONC-coordinated activities and private sector capabilities.
私たちは限定的で狭義に最適化されたアプローチ、それは主としてONCとの強調活動と民間セクターの能力に依存するアプローチを推奨する。
For example, we do not recommend the need for any new or additional areas of FDA oversight.
例えば、私たちはFDAのいかなる新規のまたは追加の監督領域も推奨しようとは考えていない。
Rather, we believe a better approach is to foster the development of a culture of safety and quality, leverage standards and best practices, employ industry-led testing and certification, and selectively use tools such as voluntary listing, reporting, and training to enable the development of a transparent learning healthcare environment that fosters continual health IT improvement.
むしろ、私たちは、安全と品質の文化の開発の促進や、標準やベストプラクティスの実践や、産業界主導のテストや認証、自動表生成やレポート支援などの選択的に使用するツールの使用や、継続的なヘルスITの発展を育成する透明性の高い、ヘルスケア環境の開発を可能にするトレーニングなどが、よりベターなアプローチであると信じている。
We do not believe that regulation should be, or needs to be, the first approach used to reach this outcome.
私たちは、規制があるべきとか、必要であるとか、この結果に達するための最初のアプローチであるとは考えていない。(訳注:規制ありきでは目的は達しないという意味)
This section identifies the four key proposed priority areas for a risk-based framework for health management health IT functionality and outlines potential next steps for each (FIGURE 3):
このセクションでは、ヘルスマネジメント・ヘルスITの機能性のためのリスクベースフレームワークの4つの主要な重点分野を特定して、それぞれ(図3)の施策のために次に進むためのステップについて概説する:
I. Promote the Use of Quality Management Principles
II. Identify, Develop, and Adopt Standards and Best Practices
III. Leverage Conformity Assessment Tools
IV. Create an Environment of Learning and Continual Improvement
I. 品質管理原則の使用を促進すること。
II. 利用可能な規格類とベストプラクティスを定義し、開発し、導入しなさい。
III. 適合性評価ツールを活用しなさい。
IV. 学習と継続的改善の環境を構築しなさい。
These priority areas share three critical characteristics:
これらの重点分野は3つの重要な特性を共有する:
1) their application can be tailored using a risk-based approach;
2) they have relevance at all stages of the health IT product lifecycle and to all health IT stakeholders;
and 3) they support both innovation and patient safety.
1) これらの利用は、リスクベースアプローチを使用することでテーラリングすることができる。(訳注:合わせ込むことができるという意味)
2) これらは、ヘルスIT製品ライフサイクルのすべての段階においてすべてのヘルスIT利害関係者に関連性を持っている。
そして、3) これらは革新と患者安全の両方を支援する。
In addition to the four key priority areas listed in FIGURE 3, the Agencies have identified an additional key component to the health management health IT framework - the creation of a Health IT Safety Center.
図3に記載された4つの主な優先領域に加えて、関係機関はヘルスマネジメント・ヘルスITフレームワークにキーコンポーネントとしてHealth IT Safetyセンターの創設を追加して定義した。
This public-private entity would be created by ONC, in collaboration with FDA, FCC, and AHRQ, and with involvement of other Federal agencies and health IT stakeholders.
この公立の民間会社はFDAと、FCCと、AHRQ、および他の連邦政府の機関とヘルスITのステークホルダ達のかかわり合いと共同作業のもとでONCによって創設されるだろう。
The Health IT Safety Center would serve as a trusted convener of health IT stakeholders in order to focus on activities that promote health IT as an integral part of patient safety with the ultimate goal of assisting in the creation of a sustainable, integrated health IT learning system that avoids regulatory duplication and leverages and complements existing and ongoing efforts.
Health IT Safetyセンターは、二重規制を避けて、現存しそして進行中の努力を補完する、統合されたヘルスIT学習システムの創造を助けるという究極の目標のもと、患者の安全の不可欠の部分としてヘルスITを促進する活動に焦点を合わせるためにヘルスIT利害関係者に信頼された召集者として機能するだろう。
The Health IT Safety Center could enable a deeper understanding of how these four priorities can and should be integrated into the programs and activities of stakeholders in health IT safety.
Health IT Safetyセンターはこれらの4つのプライオリティがどう統合できて、ヘルスIT安全における、利害関係者のプログラムと活動と統合されるべきであるかに関する、より深い理解を可能にすることができるだろう。
To be successful, the Health IT Safety Center will require a strong governance mechanism and involvement by participants in programs and activities that:
これがうまくいくために、Health IT Safetyセンターは次のような問題と活動の関係者によって強いガバナンスメカニズムと関与を要求するだろう:
- Establish a broad and engaged stakeholder membership and leadership base;
- Focus on high-value issues affecting the promotion of innovation and the protection of patient safety related to health IT;
- Build upon and improve the evidence-based foundation for health IT safety by analyzing the best available data and evidence and by identifying interventions and opportunities for improvement based on the data and evidence;
- Create or inform health IT safety priority goals and measures that align with broader patient safety goals and initiatives;
- Provide education on health IT safety, including on best practices regarding risks, mitigation strategies, usability, workflow, etc. to improve the commitment and capabilities of participant organizations to improve their health IT safety efforts and evaluate the effects of that education.
- 広く連動した利害関係者間のメンバーシップとリーダーシップベースを確立する。
- ヘルスITに関連した患者安全の保護と革新の推進に大きく影響する問題に焦点を当てる。
- ヘルスITの安全のためのエビデンスベースの基盤を、最も良い有効データ及び証拠を分析して、また、データとエビデンスに基づいて改善する介入と機会を特定することによって改良し構築する。(訳注:自分達のやり方でいいがデータとエビデンスに基づいて基盤を整備し改善せよと言っている)
- 広い意味での患者安全のゴールと問題解決に向けた新たな取り組みに合致するヘルスIT安全の優先的な目標と対策を作成し周知させる。
- リスク、対応戦略、ユーザビリティ、ワークフローなど、彼らのヘルスIT安全の努力を改善する参加組織の深い関与と能力の向上に関連したベストプラクティスを含むヘルスIT安全の教育を提供する。(訳注:Health IT Safetyセンターは、ベストプラクティスを含みヘルスITの安全教育を提供すべきと言っている)
関係機関は、このような公共と民間の努力のコラボレーションがこのレポートに含まれた戦略と推奨の成功実現に重要であると信じている。
(訳注:規制当局が一方的に規制するのではなく、官民のコラボが本レポートの実現のカギだと言っている)
The Agencies seek input on whether the focus areas identified in this report are the appropriate ones - and whether the proposed next steps, described below, will lead to an environment where patient safety is protected, innovation is promoted, and regulatory duplication is avoided.
関係機関はこのレポートで確認される焦点領域が適切なものであるかどうか、以下で説明された次のステップが患者安全が保護される環境に導かれるのか、革新が促進されるのか、二重規制が避けられるのかを示すインプットを探している。
(訳注:このレポートの主張が正しい根拠が欲しいと言っている。パブリックコメントで賛同してくれということではないか。)
The Agencies also seek comment on what steps should be taken to encourage and foster private sector participation in the identified priority areas and in the Health IT Safety Center.
関係機関はまた、特定された重点分野の中で、Health IT Safetyセンターへの民間部門の参加を奨励して、後押しするために、どんな方法が採られるべきであるかに関するコメントを求める。
The Agencies believe such participation could help otherwise avoid the need for a more active regulatory approach while assuring that health IT risks are minimized and patient safety protected.
関係機関は、そのような民間の参加がヘルスITリスクの最小化と患者安全の保護を保障するより活発な規制アプローチの必要性を避けるのを助けると信じている。
(訳注:民間がHealth IT Safetyセンターに積極的に参加することでヘルスITリスクを最小化し患者安全を保護できると規制当局は考えている。裏を介せば、民間が積極的に関与しなければ、規制当局が規制を強めるしかないという意味)
Summary and Conclusion:
概要と結論:
The Agencies'strategy and recommendations for a risk-based framework for health management health IT include four key priority areas:
関係機関が推奨するヘルスマネジメント・ヘルスITのための戦略は、4つの優先領域を含んでいる。
promote the use of quality management principles;
identify, develop, and adopt standards and best practices;
leverage conformity assessment tools;
and create an environment of learning and continual improvement.
品質管理原則の使用を促進しなさい。
関係する標準とベストプラクティスを特定して、開発して、採用しなさい。
適合評価のツールを活用しなさい。
そして、学習と継続的改善の環境を構築しなさい。
The Agencies also recommend the creation of a Health IT Safety Center as a public-private entity with broad stakeholder engagement, that includes a governance structure for the creation of a sustainable, integrated health IT learning system that avoids regulatory duplication and leverages and complements existing and ongoing efforts.
関係機関はまた、広い利害関係者が関わり官民によるHealth IT Safetyセンターが創設されることを推奨する。それは、二重規制を避け、現存し進行中の努力を補完し活用するための継続可能で、統合されたヘルスIT学習システムの創設のための管理構造を含む。(訳注:Health IT Safetyセンター は、ヘルスITの安全に有効な標準やベストプラクティスを学ぶためのヘルスIT学習システムの創設と管理の責任を担っているという意味。)
FIGURE 3:Overview of Proposed Health IT Priority Areas
図3:提案されたヘルスIT重点分野の概観
ヘルスITのための提案されたリスクベースフレームワークは、4つのキーとなる重点領域を特定し、ヘルスマネジメント・ヘルスITの機能性の有益性をより完全に実現することを助ける潜在的な次のステップを概説する。
Promoting the use of quality management principles, including a quality systems approach, by health IT stakeholders is necessary for the safe design, development, implementation, customization, and use of health IT.
ヘルスITの利害関係者達が安全設計、開発、実装、カスタマイズ、そしてヘルスITの利用のために必要とする品質システムアプローチを含む品質管理の原則の使用を促進すること。
The identification, development, and adoption of applicable health IT standards and best practices can help to deliver consistently high quality health IT products and services to consumers.
ヘルスITの標準とベストプラクティスを定義し、開発し、採用することは、高品質なヘルスIT製品とサービスを顧客に提供し続けることを助ける。
Conformity assessment tools (e.g. product testing, certification, accreditation) can provide assurance that health IT products, services, systems, and organizations meet specified standards or fulfill specified requirements.
適合性評価ツール(例えば、製品試験、認証、認証評価)はヘルスIT製品、サービス、システム、および組織が指定した標準を満たすか、または規定要求事項を実現していることの保証を提供できる。
These tools should be used and applied in a risk-based manner to distinguish high quality products and organizations from those that fail to meet basic performance standards or requirements.
これらのツールは、基本性能規格または要求の適合を満たさないものと高品質の製品や組織を識別するために、リスクベースの方法で使用され、適用されるべきである。
The creation of an environment of learning and continual improvement, including transparent reporting, aggregation, and analysis of safety issues is central to a health IT framework that promotes innovation and protects patient safety.
透明性の高い報告、集積、安全問題の分析を含む、学習と継続的改善の環境の創設は、革新の促進と患者安全の保護のヘルスITフレームワークの中心的存在である。
The Agencies recommend the creation of a Health IT Safety Center that includes broad representation from public and private sector stakeholders to establish a governance structure for the creation of a sustainable, integrated health IT learning system that avoids regulatory duplication and leverages and complements existing and ongoing efforts.
関係機関はHealth IT Safetyセンターの創設を推奨する。Health IT Safetyセンターは、二重規制を避け、現存し進行中の努力を活用し補完するための統合された継続維持できるヘルスIT学習システムの創設のための統治構造を創設し、官民領域のステークホルダーからの広い権益を含む。
【訳者考察】
今回 FDASIA Health IT Report 第5章の前文で明らかになったことは、規制当局である関係機関(FDA, FAA, ONC)は図3に示された4つの重点領域において、規制規制とゴリゴリに締め付けるのではなく、官民が協力して創設するHealth IT Safetyセンターにて、活動を進めようと考えていることだ。
また、レポートは繰り返し、ヘルスITを使った革新を妨げずに促進したい、二重規制するつもりはないと言っている。
ただし、患者の安全を念頭においたリスクベースのアプローチを使って、患者安全の対策を行うことが条件となっている。
ヘルスITは利用される段階で様々な製品やサービスが連携することでITとしての能力を発揮する。個々の製品やサービスはそれぞれ専門領域が異なることもあるので、関連する標準(規格)や業界や組織におけるベストプラクティスを使い、品質管理の原則を使用することを推奨している。
ちゃんと出来ているかどうかの判定に適合性評価ツールを活用したり、継続的な改善や学習の環境も構築することが必要と解いている。
そうなると、ここで言うHealth IT Safetyセンターの動きが気になる。調べてみたところ、Health IT Safetyセンターはまだ正式には発足していないものの、ONC(the National Coordinator for Health Information Technology)の指導下の元、RTI International がHealth IT Safetyセンター設立のためのロードマップを作成するタスクフォースがあることが分かった。(Health IT Safety Center Road Map)
こちらがHealth IT Safetyセンターのロードマップを作るタスクフォースのレポート。(Health IT Safety Center Road Map Task Force) この資料を見ると2015年の4月に最終ロードマップを完成させる予定となっている。そこがスタートラインになるので、Health IT Safetyセンターができるまでには、まだまだ時間はかかりそうだ。
ただし、ロードマップのサイト(http://www.healthitsafety.org/) すでに5回ぶんのWebinarのビデオと資料が掲載されており、 研究資料としてヘルスITが患者安全を向上された最近のエビデンスも掲載されている。(Recent Evidence that Health IT Improves Patient Safety)
Health IT Safety Task Force Members には28人が名を連ねており、それぞれヘルスITに関連する分野の専門家のようだ。見たところ、学者や公的機関の方ばかりで商売気はなく、アメリカの懐の深さ、底辺の広さを感じさせる。
今回 FDASIA Health IT Report 第5章の前文で明らかになったことは、規制当局である関係機関(FDA, FAA, ONC)は図3に示された4つの重点領域において、規制規制とゴリゴリに締め付けるのではなく、官民が協力して創設するHealth IT Safetyセンターにて、活動を進めようと考えていることだ。
また、レポートは繰り返し、ヘルスITを使った革新を妨げずに促進したい、二重規制するつもりはないと言っている。
ただし、患者の安全を念頭においたリスクベースのアプローチを使って、患者安全の対策を行うことが条件となっている。
ヘルスITは利用される段階で様々な製品やサービスが連携することでITとしての能力を発揮する。個々の製品やサービスはそれぞれ専門領域が異なることもあるので、関連する標準(規格)や業界や組織におけるベストプラクティスを使い、品質管理の原則を使用することを推奨している。
ちゃんと出来ているかどうかの判定に適合性評価ツールを活用したり、継続的な改善や学習の環境も構築することが必要と解いている。
そうなると、ここで言うHealth IT Safetyセンターの動きが気になる。調べてみたところ、Health IT Safetyセンターはまだ正式には発足していないものの、ONC(the National Coordinator for Health Information Technology)の指導下の元、RTI International がHealth IT Safetyセンター設立のためのロードマップを作成するタスクフォースがあることが分かった。(Health IT Safety Center Road Map)
こちらがHealth IT Safetyセンターのロードマップを作るタスクフォースのレポート。(Health IT Safety Center Road Map Task Force) この資料を見ると2015年の4月に最終ロードマップを完成させる予定となっている。そこがスタートラインになるので、Health IT Safetyセンターができるまでには、まだまだ時間はかかりそうだ。
ただし、ロードマップのサイト(http://www.healthitsafety.org/) すでに5回ぶんのWebinarのビデオと資料が掲載されており、 研究資料としてヘルスITが患者安全を向上された最近のエビデンスも掲載されている。(Recent Evidence that Health IT Improves Patient Safety)
図2 意味のあるユーザビリティ機能はヘルスケアの品質、安全、効率にプラスの影響を与える。ヘルスITに関する2007-2013の出版された研究結果の一部 |
ところで、ヘルスITに関して、関連する標準(規格)を参照し、ベストプラクティスを定義して、開発し、採用し、継続的な教育を行い、透明性を高めた上で認証を有効に活用する・・・と言えば、日本ではGHSがそのものズバリの活動を2014年8月から始めているではないか。
FDASIA Health IT Report を意識したことはなかったが、結果的に向いている方向性が似ていることがヘルスITドメインにおいて「間違っていなかった」と確信した。
FDASIA Health IT Report を翻訳し始めて、このことを発見したのは大きかった。ただ、GHSの方で課題になるのは、現在は製品単独でのリスクマネジメントに焦点を当てているのだが、今後は製品やサービスがネットワークでつながって機能した際のリスクマネジメントについても取り入れる必要があるというこだ。
FDASIA Health IT Report を意識したことはなかったが、結果的に向いている方向性が似ていることがヘルスITドメインにおいて「間違っていなかった」と確信した。
FDASIA Health IT Report を翻訳し始めて、このことを発見したのは大きかった。ただ、GHSの方で課題になるのは、現在は製品単独でのリスクマネジメントに焦点を当てているのだが、今後は製品やサービスがネットワークでつながって機能した際のリスクマネジメントについても取り入れる必要があるというこだ。
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