2009-10-09

CAPAができていない組織の先行きは危うい

CAPA (Corrective Action and Preventive Action:是正・予防措置)とは問題が起こったときに再発を防止するための考え方である。

【CAPAのプロセス】
  1. 問題点を明らかにする
  2. 是正アクションの実行
  3. 類似した問題が起こらないようにするための予防アクションの実行
  4. 予防アクションのデータによる検証
いたって当たり前のように見えるが、これが組織的にはなかなかできない。日本では「問題点を明らかにする」と「是正アクションの実行」を個人的にやるところまでしかいかないことの方が多いように思う。

組織的に再発を防止するためには「類似した問題が起こらないようにするための予防アクションの実行」と「予防アクションのデータによる検証」が必要だ。CAPAはシステマティックにやらないとうまくいかない。犯人捜し、個人攻撃のような様相を呈するようになると、みんな積極的に動かなくなる。

基本的には問題が起きたらQA(品質保証)担当が、淡々と実施していくのだが、日本人は過度にミスを犯したことを追求したように受け取ってしまうため、次回からは自分が気をつけて類似問題を起こさないようにするだけで、組織的予防処置まで行動が広がらない。

自分のミスをさらしたくないという恥の文化もあってそうさせているのだろう。

しかし、それでは組織的な対応としてはまったくできていない。関係部署がそれぞれの責任のもと、再発防止策を考え、実施し、検証することで、組織内に是正策が定着する。

このブログで欧米発の方法論をそのまま鵜呑みにするのは良くないと言っているが、CAPAは欧米発の考え方でよいシステムだと思う。

でもよくよ見ると CAPA はQC活動、カイゼン活動とよく似ている。最大の違いは、QC活動では問題点を自分達で抽出して、自分達で再発防止策を考え実行する。他のチームにその改善策を押しつけることは基本的にしない。(と思う)

他人から言われたからやる、のではなくあくまでも自浄能力を高めようという精神が根底にあると感じる。

ところが、今ではその自浄能力はすべてのチームにはない。そうなると組織的に問題に取り組み是正予防策を共有する必要がでてくる。責任と権限のもとルールを作ったたり、変えて、そのルールを守っていくということも必要になってくる。

CAPAのしくみがあるのにこれが形骸化している組織は最悪だ。チームには問題が見つかり外部から指摘されたら、本来は「問題を見つけてくれてありがとう」という気持ちで再発防止策に取り組む必要があるのだが、CAPAが形骸化している組織では「ああ、めんどくさい」「早く収束させて仕事に戻りたい」となる。

QC活動、カイゼン活動を普及させて自立的に乗り切る方法と、組織がシステマティックにCAPAを回す方法と現代の日本の組織には両面の活動が求められていると思う。

今起こっている問題を解決することよりも、再発防止に重きを置いている組織の未来は確固たるものがあるように感じるが、是正・予防に力が入っていない組織の先行きは危ういと思う。